冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「もう一度やってみましょう」
「ああ」

 レティシア姫のリズム取りの声に合わせて、見目麗しい二人がくるくると踊りだす。
 艶やかな空色のドレスが、部屋の真ん中で優雅に揺れ、それにつられる形でディオンは固い顔でステップを踏む。

 二人の時間を邪魔しないようにと静かに扉へと戻ったところで、「きゃっ」と聞こえた小さな悲鳴にフィリーナは振り返った。

「大丈夫か、レティシア。すまない、私が誤った」

 体勢を崩したレティシア姫を守るように、ディオンは細くか弱そうな身体を力強く引き寄せていた。

「いえ、申し訳ありません、あたくしが勢い余って……」

 ディオンの腕に収まり、頬を染めているレティシアに釣られて、フィリーナの胸までもが鼓動を速めてしまう。
 二人が寄り添っている姿は見惚れるほど絵になる。
 長身で静かに威厳を醸すディオン王太子と、しっとりとした雰囲気を纏うレティシア姫。
 見目麗しい美貌を兼ね備えている二人は、まるで昔からさだめられていた運命のようにお似合いだ。
< 11 / 365 >

この作品をシェア

pagetop