冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「こんなところにいたのね、フィリーナ。仕事は片付いたのかしら」
――メリー……
姿勢のいい歩き方でこちらへやってくるメリーは、手元に何かを持っている。
近づいてくるとわかった、両手で抱えているのは深めの器。
さっきまでフィリーナに浴びせていた冷たい態度は影を潜め、メリーは穏やかな微笑みを浮かべていた。
「回廊の掃除も済ませましたし、クロスの洗濯も終わりました。客室の寝床も整えて、レティシア様をお迎えする準備は整っております」
「そう、たくさん押し付けてしまってすまなかったわね。これで無事に晩餐会を迎えられるわ」
不気味なほどの優しい声音に身を固める。
嫌がらせのように仕事を当てつけていたのに、一体どうしたというんだろう。
「それでね、フィリーナ」
もう一歩フィリーナに近づいたところで、メリーは持っていた器を差し出してきた。
「これでも飲んで? 頑張ってくれたあなたには、ゆっくり休んでもらいたいの」
目の前に見えるのは、……水のようだ。
揺れる水面から視線を上げると、細められた目の奥で、恐ろしい何かが光ったような気がした。
――メリー……
姿勢のいい歩き方でこちらへやってくるメリーは、手元に何かを持っている。
近づいてくるとわかった、両手で抱えているのは深めの器。
さっきまでフィリーナに浴びせていた冷たい態度は影を潜め、メリーは穏やかな微笑みを浮かべていた。
「回廊の掃除も済ませましたし、クロスの洗濯も終わりました。客室の寝床も整えて、レティシア様をお迎えする準備は整っております」
「そう、たくさん押し付けてしまってすまなかったわね。これで無事に晩餐会を迎えられるわ」
不気味なほどの優しい声音に身を固める。
嫌がらせのように仕事を当てつけていたのに、一体どうしたというんだろう。
「それでね、フィリーナ」
もう一歩フィリーナに近づいたところで、メリーは持っていた器を差し出してきた。
「これでも飲んで? 頑張ってくれたあなたには、ゆっくり休んでもらいたいの」
目の前に見えるのは、……水のようだ。
揺れる水面から視線を上げると、細められた目の奥で、恐ろしい何かが光ったような気がした。