冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「あなた、先日、グレイス様と洗濯場で何をしていたの?」
「え……」
「誰にも見られていなかったとでも思っているの?」
洗濯場でグレイスと顔を合わせたのは、数えられるほどしかない。
初めて声を掛けられたときと、冷たい言葉を突き立てられたとき。
「使えない小娘のくせに、あの方と馴れ馴れしく触れ合うなんて……ッ」
最後に触れられた口唇の感触を思い出してしまい、それまでのぼせ上がっていた恥ずかしい自分に顔を赤らめる。
同時に、メリーの怒りがどこに向けられているのかに気がついた。
「あの方の妾にでもなろうとしているの!? ただの乳臭い小娘がッ!!」
突然無理やり口元に押し付けられようとした器を払うと、中身がフィリーナのエプロンを濡らしてひっくり返った。
床に転がった器をちらりと見やって、戻ってきたメリーの瞳には、明らかな嫉妬の炎が燃え盛っていた。
「フィリーナぁぁ!」
憎しみを込めたような声に、ぶるりと身体が震える。
なぜそれを持ってきたのかなんて火を見るよりも明らかな短剣が、メリーの懐から取り出された。
「え……」
「誰にも見られていなかったとでも思っているの?」
洗濯場でグレイスと顔を合わせたのは、数えられるほどしかない。
初めて声を掛けられたときと、冷たい言葉を突き立てられたとき。
「使えない小娘のくせに、あの方と馴れ馴れしく触れ合うなんて……ッ」
最後に触れられた口唇の感触を思い出してしまい、それまでのぼせ上がっていた恥ずかしい自分に顔を赤らめる。
同時に、メリーの怒りがどこに向けられているのかに気がついた。
「あの方の妾にでもなろうとしているの!? ただの乳臭い小娘がッ!!」
突然無理やり口元に押し付けられようとした器を払うと、中身がフィリーナのエプロンを濡らしてひっくり返った。
床に転がった器をちらりと見やって、戻ってきたメリーの瞳には、明らかな嫉妬の炎が燃え盛っていた。
「フィリーナぁぁ!」
憎しみを込めたような声に、ぶるりと身体が震える。
なぜそれを持ってきたのかなんて火を見るよりも明らかな短剣が、メリーの懐から取り出された。