冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「飲んでみるか?」
ぼうっと美しい光景を眺めているフィリーナに、突然声が掛けられた。
金縁のカップを掲げて見せられ、フィリーナは「へっ?」と可笑しな声を上げてしまった。
「物欲しそうに見ているじゃないか」
「え、えっと、あの、それはその……っ」
はたと夢見心地から舞い戻り、しどろもどろにうろたえる。
まさか、いつもの癖で見目麗しい姿に見惚れてしまっていたなどと言えるわけがない。
「こ、コーヒーというのは、男性のお飲み物だと……」
「レティシアはこれを好んで口にしているよ。この原料もあちらの国からの贈答品だ」
またグレイスの口から飛び出した名前に、どきりと胸がざわつく。
まじまじとフィリーナを見つめてくる碧い瞳の、おぼろに見えたその奥が切なくて、不躾ながらも視線を外してしまった。
ぼうっと美しい光景を眺めているフィリーナに、突然声が掛けられた。
金縁のカップを掲げて見せられ、フィリーナは「へっ?」と可笑しな声を上げてしまった。
「物欲しそうに見ているじゃないか」
「え、えっと、あの、それはその……っ」
はたと夢見心地から舞い戻り、しどろもどろにうろたえる。
まさか、いつもの癖で見目麗しい姿に見惚れてしまっていたなどと言えるわけがない。
「こ、コーヒーというのは、男性のお飲み物だと……」
「レティシアはこれを好んで口にしているよ。この原料もあちらの国からの贈答品だ」
またグレイスの口から飛び出した名前に、どきりと胸がざわつく。
まじまじとフィリーナを見つめてくる碧い瞳の、おぼろに見えたその奥が切なくて、不躾ながらも視線を外してしまった。