冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
 今日一日、自分から目を逸らしていたのは、昨夜の仕打ちへの怒りではなく、初い娘の素直な羞恥の反応だったらしい。

「そ、んなこと……わざわざおっしゃらないでください……っ」
「それなら、何を探しているのかを素直に言え」

 ぐっと喉を詰まらせるカレンは、口唇を尖らせて呟いた。

「姉を……探しておりました……」
「部屋にはいなかったのか」
「はい」
「ならば、あそこだ」

 目を合わせず、不貞腐れたように吐くカレンに、グレイスは口端を上げて目を細めた。

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