冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
*
グレイスがカレンを連れてきたのは、礼拝堂の裏手にある薔薇園。
緑の生け垣に囲われた秘密の花園だ。
“母が、帰る前に姉と話をしたいとのことだったので……”
そういうなら仕方ないと、本当は気が進まなかったが、母を大切にするカレンを案内してきた。
あれ以上苛めるのも可哀想だと思いやめたつもりだったが、ここへ連れてきてしまったことも、カレンを泣かせかねないとも限らないとグレイスは思った。
「おそらく二人はここにいる。奥の丸い屋根の下だ。
二人の姿を見ないと思ったら、大方そこにいることが多い」
「ありがとうございます」
ふわりとした笑みを浮かべるカレンに、グレイスは瞬きをためらう。
もしかしたら、昨夜部屋を出るときも、こんな笑顔をしていたのかもしれないと惜しいことをしたなとグレイスは自然に思った。
そんな自分の心に首を傾げていると、カレンはためらうことなく薔薇園へと足を踏み入れる。
しかし、その足は途中で進むことを止めてしまった。
グレイスがカレンを連れてきたのは、礼拝堂の裏手にある薔薇園。
緑の生け垣に囲われた秘密の花園だ。
“母が、帰る前に姉と話をしたいとのことだったので……”
そういうなら仕方ないと、本当は気が進まなかったが、母を大切にするカレンを案内してきた。
あれ以上苛めるのも可哀想だと思いやめたつもりだったが、ここへ連れてきてしまったことも、カレンを泣かせかねないとも限らないとグレイスは思った。
「おそらく二人はここにいる。奥の丸い屋根の下だ。
二人の姿を見ないと思ったら、大方そこにいることが多い」
「ありがとうございます」
ふわりとした笑みを浮かべるカレンに、グレイスは瞬きをためらう。
もしかしたら、昨夜部屋を出るときも、こんな笑顔をしていたのかもしれないと惜しいことをしたなとグレイスは自然に思った。
そんな自分の心に首を傾げていると、カレンはためらうことなく薔薇園へと足を踏み入れる。
しかし、その足は途中で進むことを止めてしまった。