冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「男女が密なる雰囲気を作れば、ああいうことをするのは自然の摂理だ。何も照れることはない」
「……」

 もう何も言わず去って行こうとするカレン。
 姉の密事に衝撃を受けたであろうカレンに対して湧くのは、同情心ではなくさらなる加虐心。
 グレイスはどうしてもカレンの潤んだ瞳を見たくて、振り返らせたくなった。
 
「僕達も、昨夜は同じことをしたじゃないか」
「!!」

 思った通りにびくりと華奢な肩が飛び上がる。

「他人から見ればいい雰囲気だと思うぞ? それなのに、抵抗するなんて……ああいうことは初めてだったのか?」
「初めてだったに決まっているではありませんかっ!!」

 涙目のままキッと強い眼光で振り返ってくるカレン。
 思いがけず大きな声を出したカレンに驚き、グレイスは慌ててその小さな口を掌で塞いだ。

「阿呆。お前、あの二人にも恥をかかせる気か」

 むぐ、と息を詰めるカレンは、グレイスの意外な気遣いに目を見開く。
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