冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
*
二人分のティーセットを載せたワゴンを押し、フィリーナはディオンの部屋の前に着いた。
天井に届くほどの高い扉を守るように立つのは、腰に仰々しい剣を携えた長身の騎士。
彼はレティシアの従者で、ヴィエンツェ国の騎士団長、クロードだ。
いつだって切れ長の目の表情を崩すことなく真っ直ぐに佇み、威圧的な雰囲気を醸している。
けれど、ワゴンを押すフィリーナが着くと、腰元の剣を軋ませ、黙ってそこをどいてくれた。
「失礼いたします」
中に入り見やった広い部屋。
踏み心地のいい絨毯から目線を上げると、部屋の中央でディオンとレティシアが抱擁を交わしているのが目に入った。
どきりとフィリーナの心臓は飛び跳ねる。
当然、婚約している二人がそういうことをしていても、何もおかしなことではない。
けれど、フィリーナはそういう場面に遭遇したこともなければ、自分自身でも経験がないような密な空気に、頬を熱くさせてしまった。
二人分のティーセットを載せたワゴンを押し、フィリーナはディオンの部屋の前に着いた。
天井に届くほどの高い扉を守るように立つのは、腰に仰々しい剣を携えた長身の騎士。
彼はレティシアの従者で、ヴィエンツェ国の騎士団長、クロードだ。
いつだって切れ長の目の表情を崩すことなく真っ直ぐに佇み、威圧的な雰囲気を醸している。
けれど、ワゴンを押すフィリーナが着くと、腰元の剣を軋ませ、黙ってそこをどいてくれた。
「失礼いたします」
中に入り見やった広い部屋。
踏み心地のいい絨毯から目線を上げると、部屋の中央でディオンとレティシアが抱擁を交わしているのが目に入った。
どきりとフィリーナの心臓は飛び跳ねる。
当然、婚約している二人がそういうことをしていても、何もおかしなことではない。
けれど、フィリーナはそういう場面に遭遇したこともなければ、自分自身でも経験がないような密な空気に、頬を熱くさせてしまった。