冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「司教様? いらっしゃいますかー?」
少し声を張り、あたりの薔薇に触れないよう慎重に奥へと進む。
初めてこの王宮に来た頃、内部を一通り案内してもらったときに一度覗いたことがある。
薔薇の甘い香りは酩酊を誘い、その蠱惑的な要素から、近年では庶民での栽培は禁じられている。
だけど、魅惑の植物と言われているだけあって、色鮮やかな大輪を咲かさせる姿は本当に美しい。
周囲の植栽に覆い隠されるように咲き誇る薔薇達。
うっとりと頬を染めながらも、真ん中に敷かれた道を突き進む。
先を見ると、細い白の支柱にまあるい屋根が載った可愛らしい建物がある。
眩しい陽射しを遮るその下に、人影が見えた。
「司教様?」
目当ての人物かと思い声を掛けると、まさかの人物が振り返って、どきりとした。
近づくとそこで椅子に腰かけていたのは、甘美な景色を見つめるディオン王太子だった。
「ああ、すまないな」
対して、ディオンはここに来たフィリーナに驚くことなく立ち上がった。
少し声を張り、あたりの薔薇に触れないよう慎重に奥へと進む。
初めてこの王宮に来た頃、内部を一通り案内してもらったときに一度覗いたことがある。
薔薇の甘い香りは酩酊を誘い、その蠱惑的な要素から、近年では庶民での栽培は禁じられている。
だけど、魅惑の植物と言われているだけあって、色鮮やかな大輪を咲かさせる姿は本当に美しい。
周囲の植栽に覆い隠されるように咲き誇る薔薇達。
うっとりと頬を染めながらも、真ん中に敷かれた道を突き進む。
先を見ると、細い白の支柱にまあるい屋根が載った可愛らしい建物がある。
眩しい陽射しを遮るその下に、人影が見えた。
「司教様?」
目当ての人物かと思い声を掛けると、まさかの人物が振り返って、どきりとした。
近づくとそこで椅子に腰かけていたのは、甘美な景色を見つめるディオン王太子だった。
「ああ、すまないな」
対して、ディオンはここに来たフィリーナに驚くことなく立ち上がった。