現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
ドキ、と私の身体に、さっきまでとは少し違った緊張感が走る。

だ、大丈夫。牧原さんは、私が立ち聞きしてたこと知らないんだし、いつも通りにしていよう。


「係長、おはようございます」

普段通り、牧原さんが私の隣へやってきてあいさつしてくれる。


「お、おはよう。牧原さん」

「係長、金曜日は仕事代わってくれてありがとうございました」

牧原さんは、後ろにいる課長に聞こえないように、小声でそう言ってきた。

代わったというより、押し付けられた感じだったけど……。


すると彼女は念を押すように、


「あ、私が友だちとご飯行くために退勤したこと、課長には内緒にしてくれてますよね? お願いしますよー言わないでくださいよー」

と言ってきた。
う、どうしよう。バレちゃってるんだけど……!
と、私がドキドキしていると、後ろから「牧原さん」と、志木さんが彼女を呼ぶ。
私は、さらにドキン、と緊張した。

彼女は「はーい、なんですか?」と笑顔で志木さんに振り返る。

ヤ、ヤバい……⁉︎

私がハラハラしながら、ふたりを見つめていると志木さんは、「昨日、俺が頼んだ仕事のことなんだけどさ」と話し始める。ああ、やっぱりその話ですよね。


だけど、上手くごまかせていると思っている牧原さんは。


「本当にすみませんでしたー。どうしてもな急用ができちゃって、そしたら係長が代わるよって言ってくださったんです!」

ああ、ごめんよ牧原さん。事実はそうじゃないことは志木さんにバレちゃってるんだよ。
どんな顔をして彼女を見ればいいかわからなくて、思わず俯きがちになる。

志木さんは、彼女になにを言うんだろう?

志木さんは私のことを好きでいてくれている。
牧原さんは私に仕事を押しつけて帰った。
……彼女になにも言えなかった私の代わりに、志木さんが彼女を怒る、とか?

いやいや、それは雰囲気悪くなるよね。
い、いったいどうしたらーー……。


ドキドキとひたすら緊張しながら、どうするべきかと焦っていると。




「そうだったね。予定がある時に急に残業頼んでごめんな」



志木さんが発したのは、そんな言葉で。



……あれ。
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