現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「いえいえ、またいつでも頼んでくださーい」

牧原さんはそう言って、自分の席へと戻っていった。



……まあ確かに、場の雰囲気や牧原さんとの関係が悪くなるのは困る。志木さんがああ言ってくれて、本当に助かった。


でも志木さんは、牧原さんが退勤した理由は知ってるはずなのに、それを注意するわけでもないのなら、どうして今その話題を出したんだろう? それが少し引っかかる。気にするほどじゃないのかもしれないけれど。


……もしかして志木さんは、私が牧原さんに注意するチャンスを与えてくれたのでは?

そう思った瞬間、心臓がドキンと一層強く跳ねる。


そうだよ、そうに違いない。それなら説明がつくもの。

それなのに私は、場の雰囲気が悪くなるからとか、牧原さんとの関係が悪くなるからとか、そんなことばかり考えて……ううん、それも違う。私は、注意をすることで牧原さんに嫌われたくなくて、ただオドオドしていた。

志木さんはきっと、そんな私に呆れたんだ。
だからなにも言わずに、話を終わらせたんだ。


それに気づいて、私は志木さんに目を向けるけれど、彼はサッと席を立ち、書庫下の方へ歩いていった。


避けられた?

確信はないけれど、そんなふうに考えてしまって。


どうしよう、嫌われたかもしれない。

彼からの恋愛感情はこの先も受け入れられそうにないけれど、だからといって、人として嫌われたいわけではない。

私も慌てて書庫室へと向かった。
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