現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
(なんだろ?)

仕事中にお母さんからLINEが来るなんて珍しい。不思議に思いながら、その内容を見てみると。


(えっ)

そこに書かれていたのは、少しばかり驚きのメッセージで。


【お兄ちゃんがインフルエンザにかかって実家に帰ってきてる。うつるかもしれないし、沙代は今晩は帰ってこない方がいいかも。友だちの家とかに泊まってきたら?】


なんだってー。
インフルエンザの流行ってもう沈静化したんだと思ってた。まだ生き残っていたのか、インフル。


私には、三つ年上のお兄ちゃんがいる。

お兄ちゃんは二年前に結婚し、現在はお嫁さんとふたりで、実家から電車で四十分ほどの場所にあるアパートに暮らしている。

お嫁さんは現在、妊娠八ヶ月だ。
お嫁さんの大事な時期にインフルエンザをうつすわけにはいかないため、実家に帰ってきたのだろう。

それはわかるんだけど。

帰ってこない方がいいと急に言われても、私に行くあてなどない。
仲のいい友だちは、みんな大抵結婚していて、家庭を持っている。もしくは、彼氏と同棲している(そして私は友だちが少ない)。

仕方ない。実家に帰ったらインフルエンザがうつる可能性は高いけれど、行くあてがないのだから家に帰るしかない。


「……あ、ネカフェに一晩泊まるっていうのも悪くないかも?」

なんとなく口に出た、ひとりごと。
うん、ふと思いついただけだけど、悪くないかもしれない。なにしろ、漫画が読み放題だ。

けれど、そのひとりごとは、真後ろの席の人に聞かれてしまって。

「ネカフェに一晩泊まる?」

その声にハッとしながら振り向くと、志木さんが私を見て、ニコ、と笑った。
その笑顔は、なぜか無機質に感じて。


「係長、ちょっとこっち来て」

志木さんはその表情のまま、書庫室の方へと向かっていく。
な、なんだ? なんだか怖いっ。
せめて書庫室にほかに誰かいてほしい、と願いながら、私は志木さんの後ろ姿を追いかけるように書庫室へと入った。
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