次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
「ふぅ‥‥」
ソファに仰向けに寝転んだディルは、小さくため息をついた。瞳を閉じてはいても、どうにも寝つけないのだ。
長身のディルが寝床にするにはソファが狭すぎるせいもあるが、それだけではない。
照明を落とした静かな部屋にいると、否が応でもプリシラの存在を意識してしまう。彼女のたてるかすかな衣擦れの音がやけに大きく響くような気がする。
プリシラもまだ起きているようだった。
「‥‥起きてる?」
凛として、涼やかなプリシラの声がまっすぐ耳に届いた。どきりと心臓が跳ねたが、ディルはなんでもない素振りで答える。
「寝てるよ」
「もうっ」
暗くて表情までは見えないが、プリシラがベッドから体を起こしたことはわかった。
「やっぱり、こっちにきたら?」
「ーーは?」
不覚にも、一瞬、頭が真っ白になった。思わず、間抜けな声が出てしまう。
「だって、よく考えたら‥‥王太子殿下をソファに追いやって私がベッドを占領っておかしいわよね。立場を考えない場合でも、体が小さい私がソファに行くべきじゃないかしら?」
プリシラ本人は大真面目のようだが、ディルはどっと肩の力が抜けていくのを感じた。
「ーーそっちかよ」
プリシラには聞こえない声で、小さくぼやいた。
プリシラは正真正銘の箱入りお嬢様だ。それも、こじ開けることなど不可能な、鉄製の頑丈な箱だ。
ディルの遊び相手の経験豊富なマダム達とは違うのだ。自分の台詞が男の耳にはどう聞こえるか‥‥なんて、考えもしないのだろう。そんなことはわかっていたはずなのに、易々と翻弄されている自分が情けなかった。
ソファに仰向けに寝転んだディルは、小さくため息をついた。瞳を閉じてはいても、どうにも寝つけないのだ。
長身のディルが寝床にするにはソファが狭すぎるせいもあるが、それだけではない。
照明を落とした静かな部屋にいると、否が応でもプリシラの存在を意識してしまう。彼女のたてるかすかな衣擦れの音がやけに大きく響くような気がする。
プリシラもまだ起きているようだった。
「‥‥起きてる?」
凛として、涼やかなプリシラの声がまっすぐ耳に届いた。どきりと心臓が跳ねたが、ディルはなんでもない素振りで答える。
「寝てるよ」
「もうっ」
暗くて表情までは見えないが、プリシラがベッドから体を起こしたことはわかった。
「やっぱり、こっちにきたら?」
「ーーは?」
不覚にも、一瞬、頭が真っ白になった。思わず、間抜けな声が出てしまう。
「だって、よく考えたら‥‥王太子殿下をソファに追いやって私がベッドを占領っておかしいわよね。立場を考えない場合でも、体が小さい私がソファに行くべきじゃないかしら?」
プリシラ本人は大真面目のようだが、ディルはどっと肩の力が抜けていくのを感じた。
「ーーそっちかよ」
プリシラには聞こえない声で、小さくぼやいた。
プリシラは正真正銘の箱入りお嬢様だ。それも、こじ開けることなど不可能な、鉄製の頑丈な箱だ。
ディルの遊び相手の経験豊富なマダム達とは違うのだ。自分の台詞が男の耳にはどう聞こえるか‥‥なんて、考えもしないのだろう。そんなことはわかっていたはずなのに、易々と翻弄されている自分が情けなかった。