次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
夜も更けたころ、プリシラは離れに用意された部屋へとひきあげた。扉を開けると、ふわりと優しい香りがただよってくる。明かりをつけて室内を見渡せば、黒檀のティーテーブルの上に香炉が置かれていた。香炉は東大陸から伝来したものだが、近年ミレイア王国でも大流行している。マリー妃の趣味なのだろう。部屋全体も東大陸風の異国情緒あふれるインテリアで統一されていた。
部屋は二間続きで、奥の寝室にはドレッサーと大きめのベッドがあった。隅々まで掃除が行き届いており、とても居心地のよい部屋だった。プリシラはドレッサーのイスに腰掛けて、ほっとひと息ついた。
ぼんやりと鏡を見つめながら、マリー妃との会話を思い出す。
(私を見るディルの目が優しいって‥‥そんなことあるかしら?)
(でも、王宮を離れてからはディルと昔みたいに自然に過ごせてるのよね。馬車の中でだって‥‥)
ディルの肩で眠ったこと、口づけされたと勘違いしたこと。そんなことを思い出し、プリシラはひとり頬を染めた。
鏡に映る自分は、恋する乙女そのもの‥‥に見える。
(恋か。ディルがどんなに冷たくたって、私がディルを嫌いになれるはずはないのよね。ずっと好きだった人なんだもの。なんて不毛なのかしら)
プリシラは大きなため息を落とした。嫌いになんてなれない。けれど、好きになればなるほど辛くなる。
「縁‥‥私とディルの間にも、本当にあるかしら?」
マリー妃の話は、プリシラの気持ちに小さなな変化をもたらしていた。少しずつでもいい。信頼と愛情を積み重ねていく。自分とディルもそんな関係を築いていくことはできるだろうか。
その考えは、かすかな希望の光となってプリシラの心を照らした。
部屋は二間続きで、奥の寝室にはドレッサーと大きめのベッドがあった。隅々まで掃除が行き届いており、とても居心地のよい部屋だった。プリシラはドレッサーのイスに腰掛けて、ほっとひと息ついた。
ぼんやりと鏡を見つめながら、マリー妃との会話を思い出す。
(私を見るディルの目が優しいって‥‥そんなことあるかしら?)
(でも、王宮を離れてからはディルと昔みたいに自然に過ごせてるのよね。馬車の中でだって‥‥)
ディルの肩で眠ったこと、口づけされたと勘違いしたこと。そんなことを思い出し、プリシラはひとり頬を染めた。
鏡に映る自分は、恋する乙女そのもの‥‥に見える。
(恋か。ディルがどんなに冷たくたって、私がディルを嫌いになれるはずはないのよね。ずっと好きだった人なんだもの。なんて不毛なのかしら)
プリシラは大きなため息を落とした。嫌いになんてなれない。けれど、好きになればなるほど辛くなる。
「縁‥‥私とディルの間にも、本当にあるかしら?」
マリー妃の話は、プリシラの気持ちに小さなな変化をもたらしていた。少しずつでもいい。信頼と愛情を積み重ねていく。自分とディルもそんな関係を築いていくことはできるだろうか。
その考えは、かすかな希望の光となってプリシラの心を照らした。