次期国王は初恋妻に溺れ死ぬなら本望である
ディルの言葉はフレッドを誰より認めている証だろう。
(やっぱり、ディルがフレッドになにかしたとは思えない。ディルはフレッドを嫌ってなんていないもの)
そのことを確信してほっとした反面、もうひとつの疑惑がますます深まることが辛くもあった。
プリシラは大きく深呼吸して、話はじめる決意をした。
「ディル。私の話したいことは、フレッド失踪のことよ。王宮ではフレッドがいなくなって得するのはあなただってみんなが言ってるけど‥‥もうひとりいるわ」
ディルの顔が変わった。聞きたくないという表情だ。プリシラの話の続きが想像できているのだろう。それでも、プリシラはあえて言葉にした。
「ロベルト公爵。私のお父様よ」
ディルはプリシラから目を逸らし、「ばかばかしい」と吐き捨てた。
「俺もそんな噂を耳にしたことはあるよ。だが、ただの嫉妬だろう。富も権力もありあまるほどに持つロベルト公爵が憎い奴はたくさんいる」
「ディル。こっちを見て」
プリシラがディルを呼ぶ。穏やかなのに、どうしても抗えない、そんな声だった。さすがは〈王妃になるために生まれてきた娘〉だと、ディルは苦々しく思った。
渋々ながら、ディルが視線を合わせると、プリシラは優しく微笑んだ。
「ありがとう、ディル。あなたの優しさは本当に嬉しい。けど、見くびらないで。私はもう王家に輿入れした人間なのよ。ミレイア王国に害を為す者は、たとえ実父であっても罰さなければいけない立場よ。もちろん、その罰が私自身に及んでもよ」
決して揺らがない、凛として強い眼差し。もうなにを言っても無駄だろうと、ディルは悟った。
(やっぱり、ディルがフレッドになにかしたとは思えない。ディルはフレッドを嫌ってなんていないもの)
そのことを確信してほっとした反面、もうひとつの疑惑がますます深まることが辛くもあった。
プリシラは大きく深呼吸して、話はじめる決意をした。
「ディル。私の話したいことは、フレッド失踪のことよ。王宮ではフレッドがいなくなって得するのはあなただってみんなが言ってるけど‥‥もうひとりいるわ」
ディルの顔が変わった。聞きたくないという表情だ。プリシラの話の続きが想像できているのだろう。それでも、プリシラはあえて言葉にした。
「ロベルト公爵。私のお父様よ」
ディルはプリシラから目を逸らし、「ばかばかしい」と吐き捨てた。
「俺もそんな噂を耳にしたことはあるよ。だが、ただの嫉妬だろう。富も権力もありあまるほどに持つロベルト公爵が憎い奴はたくさんいる」
「ディル。こっちを見て」
プリシラがディルを呼ぶ。穏やかなのに、どうしても抗えない、そんな声だった。さすがは〈王妃になるために生まれてきた娘〉だと、ディルは苦々しく思った。
渋々ながら、ディルが視線を合わせると、プリシラは優しく微笑んだ。
「ありがとう、ディル。あなたの優しさは本当に嬉しい。けど、見くびらないで。私はもう王家に輿入れした人間なのよ。ミレイア王国に害を為す者は、たとえ実父であっても罰さなければいけない立場よ。もちろん、その罰が私自身に及んでもよ」
決して揺らがない、凛として強い眼差し。もうなにを言っても無駄だろうと、ディルは悟った。