One of Them〜第一幕〜『下書き』
「だぁー!疲れたー!!」
ソラが声をあげて地べたに座った。
その後すぐに都の外れにある村の復興依頼に向かった4人。
復興に向けて、木材などの資材の確保。水や食料の確保など色々やることがあり、一通り終わったソラは疲れ果てていた。
「うるせ。少し静かに出来ねぇのかよ」
シンはそう言ってソラの近くの石段に腰掛ける。
少し離れたところでコウは子供たちの相手を、サヤは男の人と何か話をしていた。
((………普通逆じゃね?))
2人は違和感を感じつつ観察する。
「やっぱ言い出しっぺなりに頑張ってんなぁ、2人」
「……………」
「つーか、もっと楽なんが良かったし。それか大剣振るえるやつ。大活躍!みたいな仕事」
「………(同意だ)」
「なのに土耕したり、畑に種植えたりとか………地味すぎる」
ソラが「だりー」と草むらへ寝転がって、シンはソラの話を聞き流しながらサヤを見る。
サヤはいつもフードを深く被っているから表情はとてもわかりづらい。
いや、声的にヘラヘラしてるところしか知らないシンにとってはサヤは格下だ。成績も良くないし、何をしてもやる気はない。
そう、格下の筈。
だが、訓練の時にサヤが魔法を使いこなしてる姿をシンは何度も見ている。
その度に少し思う。もしかしたらサヤは自分たちより強いのではないかと。
(気に食わねぇ……)
シンはグッと拳をつくった。
サヤは話が終わったのかコウを呼び2人の元へ行く。
「依頼終わりだって」
「お!やった!もう早く帰ってお風呂入りてーんだよな」
「もう隊服ボロボロだしね。…あぁ、何着あっても足んない気がするよ」
「じゃあ依頼完了書を持っていってそのまま解散にしようか」
コウの意見に「さんせー」とサヤとソラは言って帰ることに。
シンはいつも通り黙ったまま3人についていった。