パーフェクト・インパーフェクト
出発の前、おいしいと有名らしいメロンパンを買おうと思ったのに、時間が早すぎてまだ開店していなかった。
上りのSAには置いていないらしく、しょんぼりしていると、彼が「また来よう」と言ってくれた。
思わず、心が、ぎゅっとしてしまう。
「……うん、じゃあまた今度にする」
長い、長い道のり。
わたしのスマホを繋いで、好きな曲を流しながらいっしょに歌っていると、“あまいたまごやき”の曲が流れはじめた。
「曲入れてるの知らなかった」
彼が少し居心地悪そうに言う。
「えー、入れてるに決まってるじゃん」
「決まってるんだ」
「もう大ファンなんですけど」
「それはありがとう」
何曲目かで、わたしがMVに出たナンバーのイントロが聴こえた。
なんとなく、ふたりして聴き入ってしまう。
“真ん中”というタイトルが付けられた曲。
ポップでキュートな失恋ソング。
最後の歌詞が切なくて、すごく、大好きだよ。
“夕焼けと一緒に地球に飲みこまれたきみが
ずっと僕の真ん中を照らしている”
彼の真ん中にいる、“きみ”という存在、たったひとりしか浮かばない。
いま、もういちどMVを撮ったら、時間を押さないで、きっと1テイクだけで、納得のいくものが撮れるだろうな。