パーフェクト・インパーフェクト


皆川さんがテーブルに肘をつく。
その先にある手のひらに右の頬を載せる。

そしてそっと、ふたたび、優しいまなざしでわたしの顔を覗きこんだ。


ああ、本当に、王子様みたいだなって。

そう思ったんだよ。


表情のひとつひとつが。
しぐさの全部が。
言葉の紡ぎ方が。

王子様みたいだって思った。


だから、お城育ちですか、なんて意味不明なことを聞いてしまったのだ。

そんなわけがなかろうに。



「俺と、してみる?」



“――バンドマンにはシッカリ口説かれてきた?”

リアの言葉、なぜかこのタイミングで、急に思い出してしまった。


「し、してみるってなにを」

「デート」

「デ……、本格的に酔っていますね!?」

「うん、かなり酔ってると思う」


頬を載せていた手がくるりと反対を向いて、自分のおでこをコツンとした。

また、くすくす笑っている。

たぶん本当にからかわれているんだと思う。


皆川さんはひとしきり笑ったあとで、放出した酸素を取り戻すように息を吸うと、きれいな指のむこう側から覗くみたいにこっちを見た。

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