パーフェクト・インパーフェクト


「変な無理しなくていい。言いづらいなら俺がアキに言うし」


ぜんぜん優しい声でも、あったかいしゃべり方でもないの。

むしろ淡々とした、無機質な、温度をほとんど感じられないようなトーン。


わたしをいま映しているこの瞳だってそうだ。

彼はなにかに心を揺さぶられることがあるのだろうかとさえ思ってしまうほど、どこか遠いところを見ているような、とても深い目。


この人が曲を書いているってほんとう?


はじめて会ったときとまったく同じ疑問がぽこっと浮かぶ。


こんな人が、どうしてあんなに素敵な曲を書くことができるの?

それともこういう人だからこそ、あんなふうに、魔法みたいに音符をつなぎ合わせられるの?


「ほんとにぜんぜん大丈夫ですっ」


大げさにブンブンとかぶりを振ったのと同じタイミングで、個室のドアが控えめに開くのが視界の端に入った。


皆川さんは本当に、信じられないほど何事もなかったかのように戻ってきた。

やわらかな笑顔で。
穏やかな声で。

そしてドアのすぐ傍にいたアキさんになにか耳打ちすると、困ったように眉を下げてふっと笑う。

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