パーフェクト・インパーフェクト


「はじめまして! モデルの上月杏鈴です。きょうはよろしくお願いします!」


今回わたしにお仕事をくれたバンドマンたちは、4人でかたまって温かい缶コーヒーを飲んでいた。


明るく声をかけると、笑顔がふたり。
それと、ポーカーフェイスがふたり。


いけちゃんの言った通り本当に顔面偏差値は高めだった。

なるほど、
半分くらいはビジュアルで売れている、って感じ?


「はじめまして、ボーカルのアキです。うわーマジで杏鈴ちゃん来た! やべえ!」


最初に、いちばんピカピカ笑顔の茶髪(もはや金髪に近いかも)が声を上げた。

とたん、その横にいた、重たい前髪の、目つきの悪いチビがものすごく嫌そうな顔をした。


表情はぜんぜん違うのに顔の造りが同じでびっくり。

そういえば兄弟だっけ?
と、きのう寝る前に慌てて予習したウィキペディオを思い出す。


ピカピカ笑顔のほうが、お兄ちゃんで、ボーカル。

目つき悪いチビが、弟で、ドラム……だっけね? たしか。


いちおう事前に最低限の勉強はしてきた。
名前なんかを間違うわけにはいかないし。

ホームページ見て、ウィキペディオ読んで、最近の曲をちょこっと聴いただけだけど。


いちおう弟のほうにも「お願いします」と笑いかけてみた。
すごく居心地悪そうに「どうも」と言われた。

すかさず、お兄ちゃんが「愛想なくてホントごめんな」と笑い、そうすると弟が更にイヤ~な顔をするので、なんか笑っちゃった。ヘンな兄弟。

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