君を好きになるって、はじめからわかってた。
「直!! 起きなよ!!」
私はとにかく、弟の直から攻略することにした。
単純バカは、これだけで元に戻るんだ。
「姉ちゃん、まだ俺の目覚まし鳴ってねぇーよ」
布団の中でうずくまってる直を、姉の権力でもってすればなんてことはない。
私は直から布団を剥ぎ取ってやった。
「今日は私のスペシャル朝ごはん!」
その一言で、直は素早く目を覚ました。
昔から安井家には、直を元気にする魔法のレシピが存在する。
って、メルヘンな私じゃないいんだけど、小さかった頃にお母さんに教えてもらったものだ。
今じゃ、直のご機嫌取りに作ってる。
ランチの定番、半熟オムライス!!
直は小さい頃から大好きなんだ。
「いただきます!」
私は直の食べる姿を確認すると、いつもより早く家をでた。
学校に着いて気合いを注入する。
ここからが本番!
大丈夫。
結菜ならちゃんとわかってくれるし。
とにかく先に教室で待っとかないと……。
教室のドアを開けると、私の椅子に結菜が座っていた。
「結菜!?」
予想外の展開に、大声を挙げてしまった。
振り向いた結菜の顔があまりにも酷い状態で、私は悲鳴を挙げそうになり必死で口を押さえる。
「ごめんね~まどか~」
結菜が半泣き状態で私に駆け寄ると、小さな体にしてはきついハグの洗礼を受けた。
あのあと、結菜はずっと泣いていたんだと思う。
私よりもきっと傷ついたんだ。
誰よりも、私よりも私のことを考えてくれる。
心配してくれる。
味方でいてくれる。
「ごめんね、結菜」
そう言って、結菜を抱きしめた。
落ち着いた結菜は、顔を洗って少しのメイクで何とかいつもの結菜に近づいた。
「あたし、余計なこと言っちゃったね」
「ううん。私がダメだから」
「最近ね、まどかの表情が変わったなぁって感じてさ、あのモテモテくんの影響かなって勝手に思ってて……だから」
「わかった。でもあのコには何も。ほら、あんなコ周りにいないじゃん? 新種っていうか、対応に困るよね」
「あぁ、確かにそうかも」
私も結菜も笑って、やっといつも通りに戻った。
「あっ! でもまたあのカメレオンが出たら、今度はあたしが捕獲してあげるからね!」