君を好きになるって、はじめからわかってた。
翌日。
少し早めに学校に着いた。
「安井せ~んぱい」
校舎の階段を上がっていると、聞き慣れない声が呼び止める。
「昨日は、どうも」
振り返ると、バスケ部モテモテくんが立っていた。
「どうも」
「名前なんで知ってるの? とか思わないんっすか?」
「どうせ岩泉でしょ?」
「冷たいっすね~。これ嬉しかったんだけどな……」
そう呟いた彼は、カットバンを私にみせた。
「それは違う! ごめん! 弟と間違って。やっぱり使ってないよね」
「もったいない。ここぞって時に使うんで」
「あっそ……ご自由に」
私は素っ気ない返事をして立ち去ろうとしたけど、昨日のあれを思い出した。
「そうだ。2人の間に首を突っ込まないでね」
彼は首を傾げて、すぐ思い出したように反論する。
「そんな他人の恋愛に構ってる余裕ないっすよ。自分のでいっぱいなんで」
カットバンを力強く私に見せる。
それがどんな意味なのか、多分私は知っている。
だけど……。
「そう」
私は呟くように、消すように、彼の前から消えた。
なのに私どうしたの?
なんでこんなに顔が熱いの?
教室に入ってからもしばらく顔のほてりは冷めず、私は椅子に座ったまま意識を集中させる。
大丈夫、落ち着け私。
そんな私を落ち着かせてくれたのは結菜だった。
「おっはよ~!」
今日はやけに元気がいい。
何か良いことでもあったみたい。
こんな時は、結菜の子供っぽいところに救われる。
今日は特に抱きつきたいくらいだ。
「おはよ、結菜。なんか良いことでもあったの? やけに嬉しそうだね」
「ま~ね」
岩泉がらみしかないか。
ほんと結菜は幸せそうだ。