冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「ごめんなさい、せっかくのお誘いなんですけど、はずせない用事があって」
「仕方ないよ、急だったしね。また飲みにいこうね」
「はい!」
先輩方は特に気にしていない様子で、ほっと胸を撫で下ろした。
これからこういうケースも増えてくるだろうし、折を見て副社長に相談してみようと思った。
――新しい業務が増えたといっても、新入社員に出来ることは多くない。菅野さんを始め、先輩方はさっそく残業するようだけど、私は定時であがることになった。
いつもだったら本社ビルをでて左に曲がって駅に向かうけれど、椿さんの家は逆方向。
一応近くに知り合いがいないか確認したあと、右に曲がった。
オフィス街を離れるとすぐに高層マンションが立ち並ぶ、セレブ街に出る。