冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 椿さんは毎日こうやって通勤していたんだなとしみじみ思う。なんてストレスフリーな生活を送っているのだろう、とも。


 この生活は、誰よりも努力して、成功をつかんできた証なのかもしれない。少なくとも、社会人一年目のひよっ子が味わってもいい蜜ではないだろう。

 だからこそ、せめて私に与えられた役割をしっかりこなそうと思った。
 そのひとつとして、椿さんが好きなかしわぎの味をちゃんと再現する。今日は彼が好きそうなからあげ定食にしよう。


 マンション内に入り、二階のスーパーで買い物をして部屋に帰った。


 冷蔵庫に食材をいれてからスマホを確認すると、椿さんから連絡が来ていた。


『今日の帰りは九時以降になる。先に夕食を済ませていろ』

『わかりました』と返事をして、どさっとソファに座り込んだ。

 
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