冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 よく考えたら、一人で留守番するのは今日が始めてかも。広い家にひとりぼっちは、少し寂しい。葵衣くんは、どんな気持ちで兄の帰りを待っていたのだろうか。

 何気なく辺りを見渡すと、ソファには椿さんのビジネス書が十冊くらいおいてある。
 昨日の昼は五冊くらいだったのに、いつのまにか増えていた。


 こうやって、読んだものをしまわずにいるから、すぐに散らかってしまうのだろう。
 読みかけの本がどれなのかわからないけれど、とりあえずすべて書斎に戻すことにした。

 
 椿さんの書斎は、レトロなデザインの本棚とデスクが印象的な部屋だ。
 本棚にはびっしりとビジネス書がならび、デスクにはパソコンが置かれている。

 少し埃っぽくて、古い紙のにおいがして、ノスタルジックな気分になる。

 
< 165 / 321 >

この作品をシェア

pagetop