冷徹副社長と甘やかし同棲生活
「なんだ?」
「持ってきたものは、ちゃんとあった場所にしまってください。例えばその雑誌、読んだらちゃんとしまってくださいよ」
テーブルにおかれたスポーツ雑誌に冷たい視線を送ると、椿さんの笑い声が聞こえた。
椿さんが声を出して笑うのは珍しい。
「どうして笑うんですか?」
「母親みたいに口うるさいなって思って」
「それのなにがおかしいんです?」
「いや、なんだか懐かしくてな、こういう感覚は久しぶりだ」
椿さんは目を細めて、どこか切なそうに笑った。胸がきゅっと苦しくなって、それ以上の追求はできなかった。