冷徹副社長と甘やかし同棲生活
 
 昨日、私にキスしようとしたことは覚えていないのだろうか。


「……昨日は迷惑かけたな」

「えっ?」

「ぼんやりとしか記憶になくてな」


 ふう、と深いため息をついている。もしかして、あのことを言っているのだろうか。

 次にどんな言葉が飛び出すのだろう。ドキドキしながら待っていると、椿さんは「誰かに怒られたのは久しぶりだよ」とおかしそうに笑った。


「何度も起こしてくれてありがとうな」と続けて言われ、明らかにキスの話ではないことに気がつく。


「……怒りついでに、一言言ってもいいですか?」


 
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