冷徹副社長と甘やかし同棲生活
パンプスを脱いで、静かに廊下を歩き、そっと扉を開けると……
「おかえり。思ったより早くてびっくりしたよ」
ダイニングテーブルで、私が作ったおかずを食べている椿さんがいた。
「椿さん……」
乾いたばっかりなのに、再び涙が頬を伝う。絶対に理由を聞かれるから、泣いてはいけない。副社長の悪口に怒って飛び出してきたなんて、言えるわけがない。
わかっているのに、椿さんの顔を見たら、涙が止まらない。
「柏木、どうした……?」
涙を見られたくなくて、下を向いた。椅子を引いて立ち上がる音が聞こえる。
椿さんがこっちに来てくれるのがわかるけど、なんて答えたらいいかわからない。