冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 椿さんのおかげで、商店街がテレビで特集され、活気が出てきたと母さんは喜んでいた。
 各店舗の負債に関しても裁判中で、ほぼ勝訴は確定らしい。

 つまり、椿さんは商店街にとって救世主なんだけど、それでも父さんは簡単に交際を認めてくれない気がする。

 いままで彼氏を紹介したことはないけれど、頑固親父だし、なにかと理由をつけて怒りそう。


 ソファで頭を抱えてうなだれる椿さんには、余計なことは言わないことにした。


「柏木、俺は決めたぞ。ご両親に挨拶にいくまで、お前には手を出さない」

「そうですか。……今日のご飯はおにぎりでいいですか」

「いや、もう遅いし作るのも面倒だろう。たまにはピザでもとろう」


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