俺の罪、甘い罰。
俺はそのまま、今にも泣き出しそうな彼女にキスをした。


俺達が結ばれた事を確かめるように、深く。


何度も、何度も…。




唇を離すと、


「今でも夢みたいです…。」


そう言って、彼女は俺にしがみついた。


「先生、明日になったら“嘘だよ”とか言わないよね?本当だよね、私達…。」


そう言いながら、俺の存在を確かめるようにギュッと抱きしめた。



彼女がそう思うのは、十分過ぎるほど俺にも理解できた。


こうして抱き合える存在になれた事を、


俺だって同じように驚いていたのだから―…



「あぁ、本当だよ。」


俺はもう一度彼女を抱き締めた。



俺達の想いは通じ合っている。


こんなにもお互いを想い合っている。


夢でも、幻でも、嘘でもなく


こうして現実に抱き合うお互いを―…



「でも…。」


河原は思いついたように顔を上げた。


「私、まだ先生から“好き”とか“愛してる”とか言われてない。」


そう言って、いたずらっぽく笑った。



本当は分かっているくせに。


俺のそういう気持ち。



「なんだよそれ。そういう言葉にしなくても、ちゃんと伝わっただろ?」


俺は照れ隠しに笑った。



『“好きだ”とか“愛してる”なんて、俺には恥ずかしくて言えないよ。』



そう、心の中で思っていた。
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