絶対に痩せられるダイエット
無言無表情。


なよ子の瞳は
どこを見ているのかわからない。


そして
なよ子の首には
黒い首輪がぶら下がっている。


キラリと嫌る黒い首輪は
なよ子の不気味さを

一層際立たせていた。



なよ子を見てため息をついた
員子は


手に持っていた体重計を
なよ子の前に


ガチャンと投げた。


「今日は約束の日よ」


にやりと笑う員子。


「乗りなさい」


乾いた空気のつけたい部屋の中に光る
体重計の無機質なデジタル。


このデジタルには温情など
一切ない。


ただ厳然たる現実を
乗った人物に


見せつけるだけ。

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