絶対に痩せられるダイエット
なよ子の檻の前に
誰かがカツカツとハイヒールの音をさせて


誰かが近づいてきた。


なよ子は下を向いたまま。


「ようやく本当の姿に近づいてきたようね」


なよ子が顔を上げると
そこには員子が立っていた。


「明るく活発で
両親や友達思いのなよ子さんなんて


実はウソ。大ウソなのよ」



員子がなよ子の青白い顔を見て
満足そうにうなづいた。


「脂肪と一緒に
あなたのウソの姿もはぎとられたみたいね。


本当のあなたは
人を憎み妬んで


陥れようとする悪魔なんだから。


ふふふ


さあ、檻から出なさい」


員子は檻のカギを開けた。


中から出てきたなよ子。


やせた体は
ダイエットを始めた頃とは別人のよう。


真っ白な肌に
すらりと伸びた手足


振り乱した髪の毛は
まるで亡霊のようだった。



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