Elevator Girl
         ***

「久保さん、受けとって下さい!!」


わ、見ちゃった。


人気のない廊下に久保と新人の女の子。


あれは、どう考えてもチョコ、だよね。
うん、バレンタインチョコ。



「や、悪いけど俺、そういうの貰わないようにしてるから」

「......じゃ、じゃあバレンタインじゃないです。
昇進祝いです、おめでとうございます!!」


すごいな、全然めげてない。
久保はどうするんだろう、受け取るのかな。





「--------ごめんな」



少し黙った後、ゆっくりと久保は言った。
優しい声だった。

差し出した箱を力なくおろして、女の子は肩をふるわせる。

久保は一瞥した後、こちらを向いて、



(......あ)



やば。
目、あっちゃった...!!






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