Elevator Girl
あわてて角を曲がるけど、多分もう遅い。


「……鈴木、何してんだ」


見つかってしまった……。

「…や、あのー、えと、…久保こそ何してんの」


馬鹿かよ、私!
チョコ断ってたにきまってんじゃん!見てたじゃん!

「あ、あの子可愛かったねっ!モテるね、久保!」


もはや、自分が何言ってるのか分からない。
久保も……呆れてるし。


「…ま、でも、断ることに決めてるから」

「なんで?」

「なんでって、……後々面倒なんだよ、いろいろと」


そういうもんかな。
モテる男はつらい、って。

「分かるけど、ちょっと同情するな、泣いてたし」


そう言うと、久保は困ったように下をむいた。

あれ。
何か、まずかった……?


「…久保?」



「………じゃあ、泣かさなかったら良かったわけ」

「え」



「………受け取ったら、よかった?
鈴木は俺がさっきチョコもらった方がよかった?」                                                                                                          
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