Elevator Girl
久保はまた、困った顔をして下をむく。

困った顔のまま、小さく笑った。

大きな手が、私の頭をくしゃりとかき回す。



「………悪かったよ」



確かな熱を残して、ゆっくりと手が離れた。

じゃあ、
と言って歩き出した時も、優しく笑っていた。


背中が遠くなって、角を曲がって消える。





なんで。

どうして、そんな風に笑うの。





触れたところに手を伸ばした。

胸がしめつけられたように、痛い。                                                                                                       
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