Elevator Girl
安心させようと、強い口調で言ったものの、不安でいっぱいだった。


10Fはエレベーターでなら毎日通過しているものの、実際に降りたことはまれだ。



一番奥、突き当たりって……

すでに、全く未知の領域なんですけど!




「え…。嘘でしょ」


とうとうたどり着いた部屋のプレートを見て絶句した。


ー社長室ー


社長室っ!?

…そんなの、入りたくないっ!


思わず踵を返しかけた時、ドアが開く音がした。





「…何故帰るんだ?」

「く、久堂さん…!」


なんで、久堂さんがここに?

アメリカは!?


驚き過ぎて、言葉が出てこない。

口をパクパクさせるだけの私を見て、
久堂さんは意地の悪い笑みを浮かべた。



「驚かすのは成功したみたいだな、

…どうぞ、とりあえず中で話そう」



                         
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