Elevator Girl
「君もまだ行ったことのない階に、このエレベーターで招待しよう」

「行ったことのない階…?」

「考えれば、分かるはずだ」


久堂さんはまた、意地の悪い笑みを浮かべる。


私の知らない階…?

仮にも私は、全ての階を通過するエレベーターガールよ。



そこまで考えて、はっとした。

久堂さんの狙いが、やっと分かる。


悔しいけど、これは"まだ"と言うだけの事だ。



「…52Fね」



そう言うと、久堂さんは満足そうに頷いた。


「正解。…ただし」

「ただし?」


「52Fは俺のプライベートルームだ。

それを理解した上でも、来るか…?」



強気な久堂さんが、瞬間右手を握りしめたのが見える。

顔がほころぶのを必死で止めた。


「…ずるいですよ、決めるのはいつも私なんて」

ゆっくりと近づいて、瞳をのぞきこむ。

久堂さんは狼狽えたように、言葉を詰まらせた。


「どうすればいいんだ…?」


微笑みながら、顔を近づける。



「……久堂さんのしたいことを、強引に」




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