いつまでも弟だと思うなよ。
「ま、千景くんの方はちょっと焦りすぎかなってのもあるけどね」
「だーかーらー。美沙さん、私の相談乗る気あります?」
「え、あるよ?そりゃもちろん」
……ダメだ、完全に面白がってるよこの人。
ガックリと項垂れる私に「でもさ、」と美沙の声がまた届く。
「いいきっかけなんじゃない?千景くんのことも真田くんのことも。男の人って存在を意識しなさすぎなんだよ、可奈子は」
そう言ってくる美沙に、「そうかな?」なんて返す。
「そうだよ。千景くんは弟扱い。真田くん含めて、可奈子の男友達への態度は私ら女友達と変わらないじゃん」
「うーん…」
イマイチ理解ができていない私だったけど、何となくは美沙の言ってることがわかった気がした。
確かに、チカちゃんのことに関しては、私は彼を弟にしか見ていなかった。
…いや、まだ何処かで私はチカちゃんを弟だと思っている。
けど今回のことで、少なからず、チカちゃんは私が知っていた頃の小さな可愛い弟じゃないということは認識した。
「美沙。私、これからチカちゃんとどう接していけばいいんだろう?」
認識してしまったからこそ、今の私にはこれからのチカちゃんへの接し方が分からなくなってしまった。