いつまでも弟だと思うなよ。
「……もうっ」
軽く悪態をついても、誰の耳にも入ることはない。
「なーに顔赤くしちゃってるのっ!」
……なんてことはなく。
「み、美沙!?」
「何よ〜。そんなに驚かなくたっていいじゃない」
気付けば、私の隣にはニヤニヤと笑う美沙の姿があった。
「千景くんと登校しなかったことといい、今の真田くんと可奈子の態度といい…。可奈子あんた、昨日のうちに何があったの?」
言葉だけだと真剣に聞いてくれているように聞こえるけど、美沙のその表情は完全に面白がっているようにしか見えない。
「じ、実は……」
けど、1人ではどうにも処理しきれないので、正直に昨日起こった事全てを彼女に打ち明けた。
のに。
「わーお。」
「……え、それだけ?」
全てを説明した後の美沙の第一声は、まさかのそれだけで。
「驚かないの?ていうか、他に言う事ないの!?」
「面白い展開になってきたね」
「そうじゃなーいっ!」
こんなにも親友の私が困っているというのに、美沙は呑気に「やるじゃん2人とも」なんて頷いていた。