さよならメランコリー
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好きな人の幸せも、親友の幸せも願えない。


何なら二人とも……ううん、その辺でへらへら幸せそうに笑ってる他人だってみんなみんな不幸になっちゃえばいいのに。みんな私の道連れ。


「私って、やな女……」


もうずっと前からわかっていたことだけど、今日のことで改めて思い知らされた気がする。


あのお願いは二人のために身を引いているようであって、私自身のためのものだった。

もうこれ以上傷つきたくない。振り回されたくない。惨めな思いをしたくない。嫌な自分を知りたくない。せめて、少しでも綺麗に終わりたかった。ただそれだけ。


そんな私なのに、コウキくんは最後まで優しかったな。



『ごめん、トウカ。俺、たぶん今まで何回も無神経なこと言ってトウカのこと傷つけたと思う』


コウキくんが謝ることじゃないよ。

あの申し訳なさそうな顔を思い出すとチクチクと胸が痛む。


『……俺は、トウカのことは大切な友達だと思ってて、だからトウカの気持ちは受け取れない』


カナちゃんが好きだからではなく、あくまでも私が友達だから。それ以上ではないから。だから、ごめん。


そう言われたような気がして、きっとカナちゃんがどうであろうと彼が私に恋をすることはなかったんだろうと切なくもなったし、それと同時に、私を私として振ってくれた彼がやっぱり好きだと思った。

どうしようもなく、好きだと、思った。
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