さよならメランコリー
「……いつから?」
「ずっと前から」
時間をかけて慎重に選ばれた言葉に、私は少しだって時間をかけずに答えを返す。
「それは……」
「友達として?なんて、聞かないでね」
恐る恐るというように手を下ろしたコウキと目があって、その体がぎくりと強張る。ビンゴ、みたい。
失礼だなあと思う。あんなにわかりやすくアプローチして、こんなに真剣に人生初めての告白をした。それなのにまだ信じられない?伝わらない?
「……挫けちゃいそうだな」
でもね、私、ここで挫けてなんかいられないの。きっと中学生の私だったらここで全部放り投げていたと思う。ううん、例え勢いだって告白さえもできなかったはずだ。
でも今は違う。今、私をこんなにも突き動かしているのはあの日の、カナちゃんとの約束だ。
あの日の約束があるから、私はこんなにも変われたんだよ。このままでなんて終われない。こんな中途半端なまま、この恋は放り出してなんかあげない。
「すきだよコウキくん」
振り向いて。私を見て。なんて、思っていないと言えば嘘になるけれど、もうそんなことを伝えようとは思わない。
だから最後にひとつだけお願い。
「ねえ、私の恋を終わらせて」