葛城社長と運命の恋を始めます

こんな私ですがよろしくお願いします

お屋敷に入るだけなのに、緊張して身体が震えてしまう。


朝陽さんが私の手を握る。


「大丈夫だ。はなは何も心配しなくていい。みんながはなを待ってるから。」


そんな訳ない。


花枝さんは絶対怒ってると思うし、美土里さんに嫌われてるのも分かっていた。


亜紀さんにもいつも邪魔者扱いされてるし。


大丈夫な訳がない。


朝陽さんと手を繋いで屋敷に入ると、花枝さんがお帰りなさいと迎えてくれた。


何、いったい、何が起きてるの。


昨日までのあの態度はなんだったのですか。


「はなさん、そんな所にいないで中に入りましょ。美味しいお菓子もあるのよ。」


「お母様、お帰りなさい。」


お母様が私に近づいて耳元で囁く。


「もう、何も心配しなくていいから、花枝さんの好きなようには私がさせませんからね。」


ありがとうございます。


お母様が花枝さんに何か言ってくれたのだろうか。


大広間に行くと、葛城家の人だちが集まっていた。


「はなさんは葛城家の嫁になる人です。はなさんに意地悪をする人は、即首にしますからね。お父様もお母様も私に従ってもらいます。」



お祖父様とお婆様は私たちは知らないと言う顔をしているが、この屋敷で一ヶ月間花嫁修業をするように言ったのは、確かお婆様だったような。


「葛城家で一番強いのはおふくろだからね。親父も頭が上がらないと思うよ。」


そうなんですか。


お母様は優しい感じで、おっとりとしたイメージだったのに。


庭掃除も床と階段拭きもしなくて良いと言われたけど、頑張らせて欲しいとお願いした。


後はお母様に料理を習うことをお願いしてると、朝陽さんがそれは俺が教えるから良いと言い出すし。


社長の朝陽が嫁に料理を教えるだなんて、世間に笑われますとお母様が言うと、お婆様があなたも同じでしたねと言った。


お母様は葛城家に嫁いだのが18才、何も出来なかったらしい。


お母様とお婆様の壮絶な言い合い、私にどうしろと言うのですか。


ごめんなさい。


どちらかの見方にも絶対なれません。








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