その件は結婚してからでもいいでしょうか
シャワーを浴びて先生が出てきた。トレーナーにチノパン。頭をタオルでゴシゴシふきながら、ソファに座る。
「ん? 濡れてる?」
先生は立ち上がった。
「お尻濡れちゃった」
先生は場所を移動する。今度はデスクの椅子。
「あれ、また濡れてる」
首をかしげた。
「除菌」
美穂子はファブリーズをもって先生に近づく。
「除菌除菌除菌」
先生のトレーナーに吹きかけ始めた。
「冷たっ。おお、やめてって」
先生が飛び上がる。
「除菌除菌除菌」
美穂子は一心不乱にかけ続けた。
「マジでやめてー」
先生は立ち上がって逃げ出した。それを追いかける美穂子。
「俺、綺麗だって!」
先生が叫ぶ。
「存在が罪ですっ」
美穂子は大声で答えた。
「くそっ」
逃げ廻っていた先生が、突然振り向く。それから美穂子に突進してきた。
げっ。
美穂子がひるむと、先生がその隙にファブリーズを奪い取る。それから「このやろっ」と美穂子の服にかけ始めた。
「冷たいーっ」
美穂子は悲鳴をあげた。
「ざまーみろ」
先生は腰に手を当てて、大笑いしている。
フローラルな香りが立ち込め始めた。思わずむせる。
「ほら、除菌しすぎるのも考えもんなんだぞ」
「でも、せずにはいられないんですよ!」
美穂子は湿った自分のシャツを引っ張って、唇を尖らせた。