その件は結婚してからでもいいでしょうか
あまりにも匂いがフローラルになってしまったので、窓を開けた。
冷たい空気に触れると、血が上っていた頭がだんだんスッキリしてくる。
美穂子は一つ息を吐いた。
「先生、ごはん食べます?」
美穂子はたずねた。
「もちろん食べます。美穂ちゃんのごはんは最高だし」
先生は笑顔でそう言った。
野菜たっぷりのサンドイッチに、暖かなスープ。
先生は相変わらず大きな口であっという間に食べる。
『人を見るんだ』
美穂子は先生がもぐもぐ食べる姿を観察してみた。
口いっぱいに入れるのが癖。早食い。そうか、一度もサンドイッチをお皿に戻さないんだ。ずっと手にもってる。
先生が視線に気づいて笑う。
「早速観察?」
「そうですね」
「いい傾向だ」
先生は最後の一口をごくんと飲み込んだ。
「ごちそうさま」
手を合わせて、頭をさげる。
ぴょこんって、お辞儀したな。カワイイかも。
「ん?」
美穂子は我に返った。
カワイイってなんだよ? コレは絶対的にカワイイ代物ではない、はず。
「先生の今日のご予定は?」
「うん、ネームのオッケーはきたから、下書き。あと、そろそろ画材を買いに行かなくちゃ」
「いつも自分で買いに行くんですか?」
「うん、まあね」