君のカメラ、あたしの指先
 机上の空論恋愛ばかりを追うだけで本物の恋に縁のないあたしが、いったい彼女になにをしてあげられるというんだろう。

 有紗が一歩前進してくれたのが、嬉しかった。でも同時に、目の前であの顔を見せられて、自分に何が出来るのか分からなくなってしまった。

 今まで散々、偉そうな顔して恋愛相談に乗ってきたくせにね。


「……ま、いっか。なるようになる」


 あたしはふう、とため息をついた。

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