冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「夏穂子のお節介……どうして由佐さんを呼ぶのよ……」

「今の状態からして、由佐さんに紘奈を頼んだほうがいいと思ったの。三坂さんではないでしょう?」

お店を出て歩道の端に寄り、ぼそっと呟くように言ったわたしに返ってきた夏穂子の言葉に、反論できないまま口をつぐむ。

三坂さんがもし来るってなったら、もちろん慌てるし申し訳なくて気まずいって思う。だけど、由佐さんが来るって聞いたときのようなドキドキはきっとないだろう。どんな態度をとったらいいんだろう、会話はどうしよう、あまり意識しないようにしなきゃ、なんて頭の中で必死に考えてここまで混乱はしない。

「……由佐さん、来るかな」

「来られないって連絡ないから、来るよ」

ほら、もう期待して胸が苦しくなってきた。

由佐さんのことが好きなのに、そうじゃないフリをして素直になれなくて。彼の仕草にいつもときめいているのに、なんでもないフリを必死でしてしまう。

本当は、自分の中で溜め込んで悩んじゃうくらい好きなのに……。

胸で燻る想いに切なさを募らせていると、道の脇に車が停まった。自宅から来てくれたからだろう、ラフな私服の由佐さんが車から降りてこちらに向かってくるのを見つめて、さらに想いが強くなった。

「ごめん、待たせたね」

「そんなことないです。すみません、来てほしいなんて急にお願いしちゃって」

「いいよ、遠くないから」
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