冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
夏穂子がわたしの腕を掴んで歩き、由佐さんの方へと向かって歩く。少しフラつくときもあるけれど、支えてもらわなくても平気なのに。

そう思っていたら、夏穂子と代わるようしにて由佐さんがわたしの体を支えた。肩にも手を置かれて、わたしの顔を覗くように見てくる。

「大丈夫か?」

心配されてドキッとしてしまったわたしは、うつむきながら小さくうなずいた。
わたしのためにここへ来てくれて、気遣う声をかけてくれたのだと思うと、くすぐったい気持ちでいっぱいになってしまう。

「わたしは、もうすぐ恋人の慶一さんが迎えに来てくれるので、紘奈のことをお願いしてもいいですか?」

「ああ、もちろん。面倒見るよ」

由佐さんは夏穂子に、普段はあまり見せない柔らかな微笑みを見せた。そして夏穂子は予定通り、と言いたげな目配せをわたしへとして、しばらく三人で慶一さんを待ち、ふたりが仲良く帰っていってから由佐さんの車へと乗り込んだ。

「……まったく。君、寝不足なのにたくさん酒を飲んだんだって? 人に自己管理してくださいなんて言っておいて、なにをしているんだか」

「す、すみません……」

夏穂子のいたときとは態度が変わり、呆れている由佐さんに対してわたしは助手席で申し訳なく思っていた。
来てもらうほどではなかった、でも夏穂子が余計なことをしたんだ、なんて本人に言えるわけがないので、おとなしくしているしかない。
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