冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
そう言った彼は、ばつの悪そうな顔をしていた。
由佐さんの態度と、彼が思っていたことが記憶の中の彼とぴったりと合って、そうだったのか……と心の中で納得していた。

「昔から豪快なところがあったけれど、君がいることに気づいているのに堂々と好きって言ってくる彼女の度胸はすごいと思った。でも、俺はそういうふうに香弥さんのことを見られないことを話したら、『今まで言えなかったから、すっきりした』って笑って帰っていったよ」

ずっと好きって言いたかったんだろうな……。“仲のいい先輩”の位置にもしかしたら悩んでいて、気持ちを伝える機会を考えていたのだろうか。

香弥さんの想いを考えどこか切なくなっていると、彼はわたしの顔を覗くように見てきたので、ドキッとして軽く後退った。

「ところで、エレベーターの前で君が言おうとしていたことってなに?」

「あ……えっと、それは……」

首を傾げる由佐さんに、このタイミングで気持ちを伝えるのはどうなのかと、考えてしまう。でも、今日こそはと思っていたし、ここまできて躊躇っている場合ではないような気がする。

意を決したわたしは、真っ直ぐ由佐さんを見る。動じない彼は視線を返してきて、いっきに緊張してきたが、もう止まらない。
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