冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです！

雇わないなんて、どうして由佐さんに言われなければならないのか。意味がわからず聞き返したわたしを、彼は呆れたような目で見下ろしてきた。

「この前は、病欠のバーテンダーの代わりを純に頼まれて一日だけ店に出ただけで、俺はＲｅｌａｙ Ｌｉｆｅで働いている。今、人が足りなくて困っているのは俺の営業課なんだ」

由佐さんがそこまで言ったとき、エレベーターのドアが開いた。彼は面倒なものを追い払うように手を振りながら、出ていくときこちらを見る。

「軽い付き合いに勘違いして本気になった女と仕事なんてできないから。帰ってくれよ」

わたしの気持ちを見透かしている彼の綺麗な顔はゾクリとするほど冷たく見えて、あの夜、キスを交わしてベッドの上で抱きしめてくれた人とはまったくの別人だった。

彼の言葉が、頭の中で繰り返されて唖然としてしまう。
なんで……。どうして、そこまで言うのだろう。
確かに、由佐さんのことが頭から離れなくて、もう一度会いたいと思っていた。でも彼は遊びだったと知って、それだけでも結構ショックだったのに、わざわざ“勘違い”なんて言わないでよ。

こんなに冷たい人だとは思わなかった。お店でお酒を作ってくれて、会話をしていたときはとても優しくてかっこいい人だと思っていた。会いたかったのに……もう一度会ってしまったせいで、こんなに酷い人だということを知ることになるなんて、最悪だ！