冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
由佐さんをじっと見てそんなことを思っていると、彼の視線がすっとこちらに向いたので、ビクッ、と体が飛び上がりそうになった。

「なに? そんなに見られると落ち着かない」

「す、すみません」

言い方が嫌な感じだなと思いながらも一応謝ると、由佐さんが立ち上がってわたしのほうへ向かってきた。

「見ているだけじゃなくて、言いたいことがあるなら言ってほしいな」

目の前に立った由佐さんは長めの前髪を揺らし、わたしの顔を覗くように見て微笑む。綺麗だけど意地悪そうなその顔から、わたしは視線を逸らした。わたしがなにを考えて彼を気にしているのか、見抜かれているかもしれない。相手のそういう余裕を感じると、焦ってしまう。

「“市崎課長”って、三坂さんのお店にいたときとは、全然違いますよね」

自分が動揺していることをこれ以上悟られたくなくて、なるべく落ち着こうとしていると、由佐さんは口もとを緩めた。

「あれは、お客様に失礼のないようにと純に言われていたから、気をつけていたんだ」

「……そうですか」

「あのときみたいに優しくしたほうがいい? そうしたら“由佐さん”って可愛い声で呼んでくれる?」

「っ……、いいです、別に……」

「ああ、面倒だからする気はないけど」

クスクス笑った彼は、完全にわたしのことを馬鹿にしているんだと思った。睨むように由佐さんを見上げると、思っていたよりも顔が近くにあってドキッとしてしまう。
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